角膜ヘルペスの症状と治療法

角膜ヘルペスの症状と治療法

角膜ヘルペスは、単純ヘルペスが眼球(角膜)に感染して起こる病気です。涙が出たり、光をまぶしく感じたり、目が充血するなどの症状がみられます。角膜ヘルペスは、体の抵抗力が衰えたときに、表面にあらわれます。一度良くなったように見えても、潜伏しては度々再発する、厄介な病気です。

角膜ヘルペスとは?

片目だけ見える女性

角膜ヘルペスは、口唇ヘルペスと同じ病原体である「単純ヘルペスウイルス1型」によって起こる目の病気です。ヘルペス性角膜炎とも呼ばれます。

主に30代から40代の中高年に起こりやすく、目の痛みや充血などといった、様々な症状が現れるのが特徴です。

再発しやすいだけでなく、症状が進むと、視力障害や失明などに繋がります。

角膜ヘルペスは感染者との接触によって感染します。口唇ヘルペスを発症している場合、唇に触れた手で目を触ることで、自家感染してしまうので注意が必要です。

ヘルペスウイルス1型は、三叉神経と呼ばれる場所に潜伏します。免疫力が高い状態では症状が出ないため、感染に気付かずに日常生活を過ごすことも少なくありません。この状態を不顕性感染と呼び、日本でも数多くの人がそうなっていると考えられています。

しかし疲労やストレスなどの様々な要因によって免疫力が低下すると。ウイルスが活発になり、症状を引き起こします。

幼少期に何らかの原因によって感染した人が、数年から数十年後にふとしたきっかけで発症するというケースも珍しくないのです。

角膜ヘルペスの症状・涙や充血などの違和感

片目を隠す女性
角膜ヘルペスは「実質型」と「上皮型」の2種類のタイプに別れ、多くの場合、片目のみに発症するのが特徴です。

角膜ヘルペス・実質型

実質型は、実質層と呼ばれている目の中心にある層に、ヘルペスウイルスが増殖して発症します。炎症部分が円のような形に腫れているように見えることから、「円板上角膜炎」と呼ばれることもあります。

目の内側にまでウイルスが入り込んでしまうため、視力の低下や視野欠損が起こるのが特徴です。目が濁ったような外見を呈するため、容易に判別できますが、治療後に目の混濁や視力障害などの後遺症が残る恐れがあります。

角膜ヘルペス・上皮型

上皮型は、上皮層と呼ばれる、目の表面にある部分にウイルスが繁殖します。

目の充血や痛みなどといった違和感があるのが特徴です。実質型と比べて、視力の低下や視野欠損などがあまりないため発見が遅れてしまうことも少なくありません。

上皮型は、樹が枝を生やしているような外見を呈するため、「樹脂状角膜炎」とも呼ばれています。

検査では、細隙灯顕微鏡で患部を確認します。他にも病変部を一部採取して、ヘルペスウイルスの有無を確認することもあります。

角膜ヘルペスの治療期間・1周間前後

眼科で診察を受ける男性
角膜ヘルペスの治療期間は、症状の進行度によって異なります。初期の症状であれば、5日から1週間で治療可能です。発見が遅れて症状が悪化した場合、2週間以上の治療期間が必要となるので注意しましょう。

治療には専用の点眼薬や内服薬を使用します。

角膜ヘルペスの治療薬には、ゾビラックス眼軟膏と呼ばれる薬剤が使用されます。まぶたに塗って目を閉じることで、眼球全体に薬剤を行き渡らせます。

内服薬として、ゾビラックスを改良したバルトレックスという薬剤もあります。1日に2回から3回の服用で、角膜ヘルペスに充分な効果を期待できます。

いずれの薬も、目がゴロゴロし始めたり、痛み出したりといった初期段階に使用することが理想です。早期に治療を始めることで、短い期間で治療できる可能性があります。

いずれの薬も、用法、用量を守って正しく使いましょう。服用を1回忘れることがあっても、一気に症状が悪化することはほとんどありません。しかし、治療期間が長引くことになってしまうため注意が必要です。

上皮型の角膜ヘルペスは長くても1か月以内で治ることが多いですが、実質型は数か月以上かかることもあります。