帯状疱疹の症状や原因、治療法を解説

帯状疱疹の症状や原因、治療法を解説

帯状疱疹はヘルペスウイルスの一種が引き起こす感染症です。全身に赤い発疹が起こり、強い痛みを伴います。

この記事では帯状疱疹の症状や原因、対処法について解説します。

帯状疱疹はどんな症状

帯状疱疹の特徴的な症状は、激しい痛みを伴う、皮膚の赤みです。これは紅斑といわれるもので、帯状に広がって手足や顔、胸から背中や腹部に出ます。

症状は紅斑が出る数日前から前兆が起こります。ピリピリチクチクした神経痛がサインです。顔や頭にも水ぶくれができたり、眼や耳、脳にまで影響を及ぼすことがあります。日数が経過すると、発熱リンパ節の腫れが起こることもあります。

症状はだんだんと強まっていき、1週間ほどで赤い斑点が出来て帯状に盛り上がります。

帯状疱疹の症状は多くの場合、身体の左右どちらかのみで起こります。これは、帯状疱疹の症状は神経に沿って起こり、神経の分布は身体の左右で異なっているためです。

症状がひどいと、痛みで睡眠も満足もとれず、生活に支障がでることもあります。

発症してから約2週間でかさぶたが出来て、約1週間後に剥がれてきます。完治にかかる期間は、3週間から1ヶ月ほどです。適切に治療をしないと治るのが遅くなり、傷痕が残ることもあります。

針に刺されたような強い痛みが出ることもありますが、症状のピークは7日から10日目です。個人差があるため、人によっては10日目以降にピークが出たり、症状が1ヶ月以上続いたりすることもあります。

発疹が出ず、痛みだけが起こる帯状疱疹は、無疹性帯状疱疹と呼ばれます。

帯状疱疹の原因は疲労やストレス

帯状疱疹は、季節の変わり目に起こりやすい病気です。発症数の6割は秋の9月から10月、3割が春の2月から3月、残りの1割は季節に関係なくみられます。

風邪などで体調を崩して、免疫が下がったときに発症します。

免疫力が下がる主な原因として以下のものが挙げられます。

免疫力が下がる原因
  • 過度なストレス
  • 疲労
  • 紫外線
  • 悪性腫瘍
  • 病気
  • 加齢

ストレスが過度にたまると自律神経が乱れて、体の色々な機能に乱れが生じます。その結果、免疫力が低下し、ウイルスが繁殖しやすくなるのです。高齢の人は免疫機能が低下しているため、特に注意が必要です。

帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。

ウイルスは、症状が治まっても体内から完全にいなくなることがなく、治った後も体内の神経細胞が集まった部分に潜伏します。生涯にわたって体内に潜伏し続け免疫の低下をきっかけに活発に活動し始めます。活発化したウイルスが皮膚の表面に出ることで、症状が再び現れるのです。

水ぼうそうと帯状疱疹は同じウイルスが原因

帯状疱疹と子供に多くみられる水ぼうそうはどちらも水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。

子どもの頃に水ぼうそうにかかった人は、加齢過度なストレスをきっかけに体内の水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化し、帯状疱疹が起こることがあります。

過去に水疱瘡にかかったことのある人は、生活習慣や病気、加齢による免疫力の低下に注意しましょう。

水ぼうそうにかかったことのない大人が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した場合、水ぼうそうが起こる可能性があります。いきなり帯状疱疹が起こることはありません。

帯状疱疹の治療ガイドライン

帯状疱疹の治療期間は、個人差はありますが、おおよそ1ヶ月から2ヶ月です。早期に治療を始めれば、3週間から1ヶ月ほどで治まることもあります。放置すると症状の悪化を招くので、注意が必要です。

帯状疱疹は、後遺症が出ることもある病気です。ヘルペスと違って再発する確率は低いですが、近年は増えているといわれています。発症した場合は、しっかりと治療して後遺症を防ぐことが大切です。

症状が頭や顔に出ると、顔面神経麻痺や耳性帯状疱疹、脳炎、髄膜炎などの重症に繋がります。

帯状疱疹の治療費はおよそ3,000円から8,000円です。

帯状疱疹の治療費の内訳
  • 診察料+検査料+処方せん料→1,000~3,000円
  • 薬代+薬局での調剤料→2,000~5,000円

これらの金額は、健康保険が適用された場合のものです。

症状が中度~重度だと、バルトレックス錠ゾビラックス錠などが処方されます。軽症であれば、ゾビラックス軟膏で治療可能です。症状が重いときは、点滴や注射をしたりして、改善されなければ入院することになります。

帯状疱疹の治療を受けているのは、皮膚科や眼科、耳鼻咽喉科や一般内科です。

帯状疱疹は人にうつる?

帯状疱疹の症状として出る水ぶくれの中の液体に触れることで感染する恐れがあります。

赤ちゃんにうつってしまうと重症しやすいため、特に注意が必要です。

帯状疱疹になった人は、水ぶくれが完全にかさぶたになるまでは人との接触に注意しましょう。

帯状疱疹にかかったことがない人が感染した場合、水疱瘡として人にうつってしまう可能性があります。

帯状疱疹が発症したら入浴にも気を付けることが必要です。お湯を介して周囲に感染させる恐れがあります。

感染する可能性がある人と一緒に入浴したり、タオルを共用したりすると、感染が広がる恐れがあります。帯状疱疹にかかっている人は、タオルやマットを他の人と使い回しないようにしましょう。

入浴そのものは、皮膚を正常に保ったり、新陳代謝を活性化させて、皮膚の再生を促進したりといった効果が期待できます。

妊婦が感染すると、新生児に先天性水痘症候群新生児水痘などの重症化しやすい病気や、奇形が起こる危険性があります。妊娠を考えている人で、水疱瘡になったことが無い場合は、予防接種を受けることをおすすめします。

帯状疱疹後神経痛とは

帯状疱疹は、水ぶくれが治り、かさぶたや紅斑が消えた後も慢性的な痛みが残ることがあります。

帯状疱疹の症状が消えた後にも残る痛みを、帯状疱疹後神経痛といいます。高齢者に起こりやすく、絶え間なく痛みが続くのが特徴です。

帯状疱疹後神経痛かどうかは、症状がおさまった後に痛みがどのくらい続くかで判断されます。

痛みが3ヶ月以上続く場合は、帯状疱疹後神経痛の可能性が高いといえます。

感覚が過敏になり、小さな刺激でも痛く感じたり、軽い症状でもズキズキとうずくような疼痛が慢性的に続いたりすることが特徴です。

重い症状の場合には、鋭い物で突き刺されたような痛みや、焼けるような激痛が続き、睡眠もままならなくなります。下着や服が擦れるときのわずかな刺激でも耐えられないほどの苦痛が起こり、日常生活に支障をきたします。

帯状疱疹後神経痛を防ぐには、帯状疱疹が起こってからすぐに薬で治療することが重要です。症状を放置してしまい、治療を開始するのが遅くなると、治療が長引くだけでなく、帯状疱疹後神経痛が起こるリスクが高まります。

帯状疱疹に効果的な薬

帯状疱疹に効果的な薬は、抗ウイルス薬のバルトレックスゾビラックスです。

これらの薬は、ヘルペスの治療にも使われる薬です。水疱瘡や帯状疱疹にも効果があります。抗ウィルス作用によって、体内で活動するウィルスの増殖を抑え、症状を緩和させます。

初期症状の段階で使い始めれば、早く治るだけでなく、皮膚や神経へのダメージを最小限にする効果も期待できます。

ゾビラックスの用法・用量は、400mg錠を1回2錠、1日5回です。一方、バルトレックスは、500mg錠を1回2錠、1日3回です。

1錠あたりの費用はゾビラックスの方が安いです。一方、バルトレックスはゾビラックスよりも効果が高いだけでなく、服用回数が少ない分、飲み忘れのリスクが下がります。

バルトレックスとゾビラックスは同じ作用を持つ薬です。バルトレックスはゾビラックスを改良した薬で、より効果的に作用するように作られました。

バルトレックスを服用した場合、副作用として、以下の症状が出ることがあります。

バルトレックスの副作用
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 下痢
  • 眠気
  • 肝機能検査異常
  • 腎障害
  • 発疹

帯状疱疹の治療でバルトレックスを使った場合、副作用が起こる確率は3%程度です。症状が出る頻度には個人差があります。副作用のリスクを高めないためにも、用法・用量を守って飲むことが重要です。

帯状疱疹の症状を早く治めたり、帯状疱疹後神経痛を防いだりするためには、薬を早めに飲む必要があります。

帯状疱疹の症状に気づいたら、すぐに病院を受診し、治療薬を処方してもらいましょう。

治療薬は個人輸入で購入することもできる

バルトレックスやゾビラックスは、個人輸入を代行している通販サイトで購入することもできます。病院より安く買えるのがメリットです。一方、自己判断で使うことになるため、不適切な使い方をして治療に失敗するリスクもあります。