バルトレックスの効果

バルトレックスの効果

バルトレックスは抗ウイルス薬の一種です。性器ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスに有効です。また、水痘や帯状疱疹の治療や予防にも使われます。

この記事では、バルトレックスの効果について解説します。

バルトレックスはヘルペスの治療・予防・再発抑制に使われる

バルトレックスは主にヘルペスの治療に使われる薬です。

口唇ヘルペス性器ヘルペスの両方に有効です。また、造血幹細胞移植におけるヘルペスの発症抑制にも使われます。

がんの治療で行われる造血幹細胞移植は身体の免疫機能を下げるため、ヘルペスが発症しやすくなります。バルトレックスを使えばヘルペスの発症、再発が抑制されます。

単純ヘルペスウイルスは非常に感染力が強く、性行為を始め、感染者の使ったタオルコップなどからも感染することがあります。そのうえ、症状が出ていない感染者からでもうつることがあります。

1度感染してしまうと、ヘルペスウイルスを体内から完全に駆除することはできません。症状は治まっても、頭部にある三叉神経節に潜伏してしまうからです。潜伏したヘルペスウイルスは、疲労やストレスで体の抵抗力が落ちると再活性化して再び症状を引き起こします。

ヘルペスは一度感染すると完治させることができません。

ただし、バルトレックスを使えばヘルペスの再発頻度を下げることは可能です。1年に6回以上、再発を繰り返す場合、バルトレックスを1年間飲み続けることで、再発の頻度を減らすことができます。

臨床試験では、およそ7割の患者でヘルペスの再発の頻度が下がりました。また、再発しても軽度で済み、感染力もおよそ4分の1に低下することが確認されています。

バルトレックスは帯状疱疹や水疱瘡にも有効!

バルトレックスはヘルペスだけでなく、水疱瘡帯状疱疹の治療にも使われます。

バルトレックスの有効成分はバラシクロビル塩酸塩です。ウイルスのDNA伸長を阻害する働きにより、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える効果があります。

水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種です。そのため、バルトレックスで治療が可能です。

水痘瘡による発熱期間の短縮を始めとして、新たな発疹の抑制や、発疹の治癒を早める効果があります。

小児が水痘瘡に感染した場合、学校保健安全法によって「全ての発疹がかさぶたになるまで」登校できないことになっています。そのため、バルトレックスによる早期治療が望まれます。

帯状疱疹は、頭痛発熱などの全身症状に加えて、身体の神経の流れに沿って障がいを及ぼし、目や耳のトラブルを引き起こすことがあります。

視力の低下や難聴は後遺症として残る恐れがあるため、早めの対処が必要です。バルトレックスを使えば、帯状疱疹による疼痛期間が短縮し、重症化が抑えられます。

一方、副作用として吐き気下痢頭痛といった症状が出ることもあるので注意しましょう。

高齢者は特に注意が必要です。高齢者は腎機能が若い世代の人々よりも低下していることが多いため、副作用が起こりやすいのです。

バルトレックスはカンジダや他の感染症には効果がないので注意

バルトレックスは単純ヘルペスウイルス水痘・帯状疱疹ウイルスのみに効果がある医薬品です。ヘルペスや水疱瘡、帯状疱疹以外の感染症には効果がないので、注意が必要です。

代表的な性感染症の1つ、性器クラミジア感染症はクラミジア・トラコマティスと呼ばれる細菌によって起こる病気です。元々は眼病の病原体でしたが、最近では性器粘膜への感染が中心となっています。代表的な性感染症の中でも年間の報告数が最も多い病気です。

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスの感染によって発症する性感染症です。感染後3ヶ月程度で、先端の尖ったイボのようなものが性器周辺に発生します。イボ自体には痛みはありませんが、衣類で擦れることによる痛みがあり、出血してただれた場合には悪臭を発することもあります。

カンジダ症真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が性器に感染し炎症を引き起こします。カンジダ菌は消化管や膣に常に生息しており、通常は人体に害を及ぼすことはありません。しかし、免疫が弱まると繁殖し症状を引き起こします。

これらの性感染症の病原体は、いずれもヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスとは体の構造が異なります。そのため、バルトレックスを使っても治療できません。

バルトレックスをむやみに使うと、薬に耐性を持った病原体が発生する危険があります。

これらの性感染症には、それぞれ有効な抗生物質があります。性器やその周辺に異変があったら、自己判断で薬を使わず、病院で診察を受けましょう。

どの病院に行けばいい?

性病は泌尿器科や皮膚科、性病科、女性は婦人科、産婦人科で診察してもらえます。