バルトレックスの注意点・妊娠中の人や腎機能の弱い人

バルトレックスの注意点・妊娠中の人や腎機能の弱い人

バルトレックスは、有効成分としてバラシクロビル塩酸塩が含まれた抗ウイルス薬です。ウイルスの増殖を抑えることで、症状を緩和させる効果があります。ヘルペスや帯状疱疹、水疱瘡の治療だけでなく、ヘルペスの再発抑制にも有効です。

一方、人によってはバルトレックスを注意して使う必要があります。

この記事では、バルトレックスの服用に注意が必要な条件について解説します。

バルトレックスは授乳中の女性でも安全に使用できる

口唇ヘルペスや性器ヘルペス、帯状疱疹などの治療に高い効果を発揮するバルトレックスですが、妊婦授乳婦は注意が必要です。

バルトレックスの添付文書では、妊婦がバルトレックスを使うことについて、以下のように記載されています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[活性代謝物のアシクロビルにおいて、動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている。
出典:バルトレックス錠500 / 医療関係者向けサイト GSKpro:PDF

妊婦がバルトレックスを服用した場合、胎児に悪影響が出る可能性があるのです。

また、授乳婦がバルトレックスを服用した場合、母乳を介して乳児がバラシクロビルを摂取してしまう恐れがあります。

一方、国立成育医療センターが発表している授乳中に安全に使用できると思われる薬には、バラシクロビルが記載されています。

バラシクロビルは、服用後4時間で母乳中の濃度がピークとなるとされており、服用方法としては直後に行うとよいとされています。

バルトレックスを飲んだからといって必ず胎児や乳児に悪影響が起こるわけではありません。ただしリスクがあることには変わりないので、妊婦と授乳婦は必ず医師の判断のもと適切な処置を受けましょう。

腎機能が低下していると副作用が起こりやすくなる!高齢者も注意が必要

バルトレックスは、副作用が少ない薬です。しかし、人によっては副作用が起こりやすくなるので注意が必要です。

バルトレックスの服用で注意しなければいけないのは、腎機能障害を持つ人や高齢者です。

腎臓が弱い人は、副作用のリスクが高まるとされています。

バルトレックスの有効成分バラシクロビルは、肝臓で代謝されたあとに腎臓で処理され、尿として排出されます。しかし、腎機能が低下していると排出が上手く行われず、体内に残留します。バラシクロビルが体内に長い間留まっていると、その分が作用が強くなり、副作用のリスクが高まるのです。

バラシクロビルの血中濃度が高まると、めまいや頭痛など精神神経系の副作用があらわれやすくなります。

高齢者は腎機能が低下していることが多いため、注意が必要です。腎機能の低下によって血液透析を行っている場合には、さらに慎重な使用が求められます。

腎機能が低下している人は、投与間隔をあけるなどの工夫が必要です。

バラシクロビルは腎臓への負担が大きいため、服用する際には多めの水で飲みましょう。副作用のリスクが高い人の場合には、脱水状態に陥りやすいため、適度な水分補給を行うことが求められます。

バルトレックスを子供に飲ませるときは用量に注意する

バルトレックスは、臨床試験で安全性が確認されており、乳幼児への使用も可能です。

ただし、子供に使用する際は、成人が使うときよりも慎重に使う必要があります。成人よりも身体が小さい子供に、バルトレックスの錠剤を使うと、作用が強すぎるため、重い副作用が起こる恐れがあるのです。そのため、子供にはバルトレックス顆粒50%が使われます。

顆粒タイプは子供でも飲みやすいだけでなく、細かく用量を調整できるというメリットがあります。

バルトレックス顆粒の用量は子供の体重によって決まります。以下は、子供のヘルペスを治療する場合のバルトレックスの用量です。

バルトレックス顆粒の用量
  • 体重10kg未満・・・1kgあたり1回25mgを1日3回
  • 体重10kg以上・・・1kgあたり1回25mgを1日2回

1回の最高用量は500mgから1000mgです。飲み方は治療する病気によって変わります。

体重40kg以上の子供なら、成人と同じ用法・用量で問題ありません。

バルトレックスを飲むと、脱水症状を起こしやすいため、適切な水分補給を行うことも大事です。特に子供の場合には、脱水症状を自身で理解することが難しいため、投与中は保護者が様子を見るようにしましょう。